「空は飛ぶけど鳥じゃないのはな~に?」
「ペンギン!」「おばけ!」
クイズタイムで、子どもたちの声が弾みます。2017年3月18日、さきちゃんちで街頭紙芝居師、三橋とらさんの紙芝居ワークショップが開かれ、14人の子どもが来てくれました。
かつて、自転車で公園などに紙芝居師がやってきて、駄菓子を買った子どもたちが見入ったのが街頭紙芝居です。いまはめったに見かけなくなりましたが、劇団員だったとらさんのお母さんが荒川区で街頭紙芝居師をやっており、とらさんもいつのまにかその道に入っていたとのことです。だから、最初に子どもたちは駄菓子のせんべいを食べました。ソースとかミルクとかチョコとかをつけて挟んで食べる駄菓子です。「チョコがおいしい」と子どもたちは大喜びです。
そして子どもたちの希望で最初に演じられたのが「たべられたやまんば」。紙芝居の前にお行儀よく並んで、真剣に聴き入っていました。しかし次の動物クイズタイムではみんな立ち上がって「ハイ!ハイ!」と手をあげて答えを競っていました。
ハイライトは、とらさんのエチュード(即興)紙芝居。「まずとらちゃんが絵を描くから、みんなそれに色をつけてね。誰を主人公にする?」「おばけ!」と子どもたち。「おばけはどんな顔をしている?」「目が三つ!」。とらさんは三つ目のおばけを画用紙に描きました。
「おばけがふーっと飛んできました。そこで何を見つけた?」「宝箱!」
「箱の中にはお花があります。魔法のお花です」
とらさんは一定のストーリーを想定しながら絵を描いていきました。それを子どもたちに渡して色を塗ってもらうつもりが・・・子どもたち自身が「くじらおばけ」を描いたり、ある花の色だけ黒く変えたり、想像力たくましく、絵に付け足しを始めました。
1人1~2枚絵に色を塗ったところで、とらさんは1つ1つの絵の意図を子どもたちに確認し、ストーリーを考えます。「みんなの絵はすごいね」。いろんな要素が現れ、あっちこっちに話が飛びそうになりつつも、全部つなげたら、なんと、オリジナルの紙芝居の出来上がり。「想定していたのと違うものになっちゃったけど、みんなの作品だよ!」
最後に、大人からの要望が多かった「注文の多い料理店」。作品の持つ力ととらさんの上演力にのまれ、子どもたちは集中して聞き入っていました。終わってもすぐ拍手とならず、「なんで顔がぐちゃぐちゃなまま戻らなかったんだろう」と1人の子がつぶやき、ああだこうだと意見が出されました。拍手のタイミングを失って顔を見合わせる大人たち。
とらさんは「注文の多い料理店を終えて、作品を語り合った経験は初めてです。勉強になりました」と言っていました。子どもたちも作品の奥深さに触れられたようでした。
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